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ゆーかのらくがき日記

徒然なるままに、人類には速すぎるブログを書きたいと思います。

昔々あるところに・・・    黒ゆーかシリーズ ③

・・・・・

痛い痛い とまれない。 血が止まったら家に帰ろう

そんなことを考えながら、止まらないから停まれない。 

家には帰れないのに足は家の方向へ、そして家が見えると向きを変えるのです。
どれだけ歩いたのでしょう。

ポタ・・・ポタ・・・
零れ落ちるは砂時計、その最後の巨大な一粒が空も大地も紅く染めるころ――
時間がどれけ経ったかわからないけれど、私に解ったことは一つだけあります。 
それは 誰も助けてはくれない ってこと
この紅い跡が見えなくなったら、何処に向かって歩けばいいのか――    (注2)





「もう大丈夫だよ」
その声が私の歩みを止めました。
ぇ・・・?
私は、足元の血の跡を辿るように歩いていたので前は見ていませんでした。 (注1)

「私は看護婦さんなんだよ。 お薬も包帯も上手だよ」 
そう言って、怪我をした右手に触れました。

あれ・・・?
その声が不安を止めました。
痛くないよ・・・?
その触れた手が痛みを止めました。

その人は、薬も包帯も使っていないのに私の全てを止めてしまいました。
これは真夏の蜃気楼?
私は生まれて初めて会いました。 絵本の中にしか居なかった心優しい人に・・・ 

「さぁ、お家に帰ろう」

「お家には帰れないの」
「こんな怪我をしたら、いっぱい叱られるから」

私はやっと涙を零し、転んだり風邪を引いたりしたらどうなったか話しました。

「大丈夫、私の家においで」

その人の家は私の家の隣にありました。 こんな近くに絵本の中だけの人が居たなんて!

「この塗り薬はね、秘伝の塗り薬なんだよ~ だから全然痛くないんだよ?」
子供心に私は――

嘘だッ!と思いました。

でも、何てやさしい嘘でしょう。 看護婦さんだという事も、きっと私を安心させる嘘だと思いました。
薬なんて関係ないんです。 貴女だから痛くないんです

どうして、その時思った事を言えなかったのでしょうか・・・ 
人に優しくされた経験も無く。 私は、感謝のしかたも知らずに育っていたのでした。

薬はまったく痛くなく、そして包帯はとても丁寧に巻かれました。 
それは肘に巻かれているというのに、腕を曲げても伸ばしてもちっとも緩まず、そしてまるでキツくありません。
もしかして本当に看護婦さん?

「ここで待っていてね? ぜったいに叱らせたりしないから」
その人は、私を自宅で待たせ一人で私の家に行きます。

「無理だよ・・・」

「大丈夫!」

真夏の奇跡はまだ続いたままなのでした・・・

つづく!



注1:血の跡は後ろに続くのに、なんで辿っているのかって? 同じ所を、ぐるぐる歩いていたからですよ。
注2:小説風に色々、書きなおしてみました><; かっこつけすぎ?

テーマ:独り言 - ジャンル:その他

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